横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

はてなブログ・今週のお題「好きなスニーカー」 ~ただし靴の話はしません~

オタクにとってスニーカーには2種類あります。ひとつはもちろん足に履いて活動するためのスニーカーですが、もうひとつは小説です。

そう、角川スニーカー文庫

最近むやみやたらと出版する会社が増えたライトノベルですが、スニーカー文庫は90年代から存在する最古参レーベルと言ってもいいでしょう。電撃文庫ファンタジア文庫と並び称されることが多いんですが、それに比べれば最近あんまり活気がないように見えます。

たぶんメディアミックス作品がイマイチなせいだろうな。看板作品も数が多くないし。ライトノベル界のサンデー、という表現が個人的にはしっくりくる。

さて、今回は好きなスニーカーということで、スニーカー文庫の中から好きな作品というか色んな人にお勧めしたい作品でも書いてみようかと。

 

●『涼宮ハルヒの憂鬱

言わずと知れたライトノベル界の巨頭。こいつがなければ今のオタク文化はないと言ってもいい。まあ半分くらいは京アニの功績じゃないかという気はするけれども。

評価とか考察は調べればイヤというほど出てくるので書かない。各方面から批評もされたし色々と話題にも上がったんだけど、発売当初からずっと追っかけてきた身からすれば、もう10年経ったのかという印象が一番強い。

ハルヒが出た当時はここまでヒットするとは思ってなかったし、オタク文化がここまで大きなコンテンツになるとも思ってなかった。その地平を切り開いたという点で、評価されるべき作品だと思います。とりあえず1巻だけでも読んでみる価値はある。

惜しむらくは刊行ペースの遅さと、シリーズが未完でストップしてしまったこと。有終の美を飾れていればまた違ったのかもしれない。数年前まではレーベル側も必死こいてハルヒという看板を掲げ続けてたんだけど、さすがにもう無理だと判断したのかなあ。

 

●『ガンダム』シリーズ

テレビ本編のしっかりしたノベライズからパラレルな展開まで、何でもござれのガンダムシリーズ

ボリュームや出来の差こそあれ、ほとんどのシリーズにおいて小説版が出ているし、ファンの談義の中で出てくることもあるので、ガンダムが気に入ってるなら一読の価値はあるかと。ファーストガンダムの小説版はアニメとあまりにもかけ離れててひっくり返ったクチ。

テレビ本編をまったく知らなくても楽しめるという点では、後藤リウ氏が手掛けた『SEED』シリーズ全五巻がベスト。テレビ本編を忠実に、かつけっこう上手に再編集してノベライズしているので、長々と4クールを観るのは面倒という人にもお勧め。

本編を観たうえで楽しむならやっぱり小太刀右京氏の『AGE』全5巻かな。発売当時はテレビ本編とかけ離れた、かつ本編よりも盛り上がるストーリーや設定でそこそこ話題になっていましたが、確かにいい出来だった。文章や言い回しに独特のクセがある作家なので、それを許容できるかで少し評価は割れそうですが。

 

●『タマラセ』

私のバイブル。以上。

というと身も蓋もないんですが、それだけ私にとっては衝撃の大きかった作品。淡々とした文体から繰り出されるシュールなギャグがとにかくツボに入った。作者である六塚光氏はこの後も複数のレーベルで作品を出しているんですが、一番ギャグにキレがあったのがデビュー作であるこの『タマラセ』。

ライトノベルならではのアクの強いキャラクターたちの中で、平々凡々で能力も地味めな主人公が平凡なりに駆けずり回ってる姿がまたいいんです。

 

●『ムシウタ

えー、途中で読むのをやめて手放した作品なんですが、来月ようやく本編が完結するらしいと聞いたので、また買い直して読もうかと密かに思っているところです。こちらもシリーズ開始から10年以上経ってる作品で、挿絵のタッチも初期からかなり変わってきてますねえ。

主人公が作中で最強の能力者みたいな称号を与えられてるんですが、俺TUEEEE系というわけでもなく、毎回それなりに苦戦させられていた印象が残っている。

主人公に限らず過酷な戦いを強いられていく中でも必死に生きてるキャラクターたちが魅力的なんですが、読んでる側としても「これは悲劇が来るんじゃないかな……」と身構えてしまって、読んでいて切なくなるというか精神的にエネルギーを削られていく作品。でも面白いですよ。

 

●『戦闘城塞マスラヲ

こちらは5巻でさっくり完結という短くまとまった作品ですが、同じ作者の別シリーズと色々繋がっています。特に『お・り・が・み』からの実質的な続編と言ってもいいので、関連作品すべてに手を出し始めると10冊を軽く越えます。でも『お・り・が・み』を1巻でぶん投げた私でもマスラヲは十分楽しめました。

近頃はヒロインがニートだったり引きこもりだったりを名乗る(そのくせ美少女という異様な)作品がちらほらありますが、本作は主人公が引きこもり。かなりネガティブな奴ですが、運とハッタリと爪の垢ほどの根性で成り上がっていきます。

『マスラヲ』が本当に面白くなるのはそんな主人公のメッキが剥がれた最終巻。根暗で貧弱だった主人公が、確かな成長を見せる。最終巻の盛り上がりっぷりはスニーカー文庫の中でも随一(私調べ)。

 

ざっと5つほど選んでみましたが、なんつーか年代がバレそうなラインナップだなあ。やっぱりゼロ年代が一番活気づいてましたね、スニーカー文庫は。ハルヒというデカい看板を失ってからは流行りを追っかけてる印象が強くて、一時期のいわゆる長文・解説系タイトルの多さはすさまじいものがあった。いま元気があるのはアニメ化するという『新妹魔王の契約者』くらいじゃないかなあ。ゲームっぽさとエロさがあとちょっと抑えめになればもっと評価が上がるんですが。

今回はちょっと探せば古本屋なんかで安めに揃えられるシリーズを厳選した(つもりです)ので、興味を持たれた方はぜひどうぞ。