横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

『劇場版 仮面ライダー鎧武』感想 ~ボールはともだち、こわくないよ~

f:id:owustet:20140719224117j:plain

鎧武の映画、公開初日に見てきましたので感想。

面白いかつまらないか? と聞かれたら、面白かった! ときっぱり言えるんだけど、ここがいい、あそこが面白い、というポイントは見た人によって変わりそう、そんな映画でした。

あとはサッカーとコラボという点も含めて、そもそも賛否両論分かれそうな作品だなあ、とは観る前から思ってました。春映画といい、『鎧武』の映画ってそんなのばっかりなんですけど。

 ネタバレを見たくない、という人のために以下折りたたみ。

   

最後のアクションまでサッカーかよ! カムロがボールかよ!

 ……はい、ツッコミ終了。

本作をすでに見た方なら、今回の記事サブタイトルにも納得がいってくれることでしょう。

 

バトルシーンに対するあれこれ。

映画のキーキャラであるラピス少年(仮面ライダーカムロ)がエネルギーボールに変身して、それをみんなで蹴り合いながら敵を突破していく

というラストバトルの絵面が……その……ねえ?

いや、物語上は意味のあるバトルなんですよ。

自身の目的のために人間(あるいはオーバーロードも)の負の感情を煽って、生命を奪い合わせてきたコウガネを、生命を奪わない平和の戦い=サッカーで打ち破る、という流れは問題ない。

ただ、スーツまで新造したカムロがすぐ画面から消えてみんなにパス回しされてるのは、どうなのよソレ、という印象が。

 

単純に迫力という点でも中盤のバロン・ブラーボ軍・斬月部隊の三つ巴戦や極アームズとマルスの一騎討ちの方が見ごたえあったし。

三つ巴集団戦はバイクアクションも久々に頑張ってたのですが、いかんせん尺を取りすぎ。あそこをもう少し削ってラストバトルに回してたらちょうどよかったのになあ。

ラストバトルの雑魚もCGだけで片付けないで、インベス着ぐるみオールスターズとも戦ってほしかった。着ぐるみだらけだとサッカーができないにしても、カムロ込みでインベス集団と格闘戦→CG分身体とサッカー戦、の流れとかでいいんじゃないかと。

 

ストーリー面についてですが、『鎧武』ストーリーの番外編と位置付けられるような内容で、悪くはなかったです。

人はお互いに生命を奪い合うことしかできないと諦めていたラピスに対し、紘汰がサッカーを教えたり諦めない姿を見せたりすることで救う

という筋はきちんと通していたので。

もしかしたらラピスに初めてできた友達が紘汰なのかもしれない、みたいなことを今回の記事サブタイを考えながら妄想していたり。

 

またこの映画で実質的に唯一の悪役であったコウガネは、人間の欲望とヘルヘイムの自然とがミックスされて誕生したという背景を持つ、いいボスキャラだったのではないかと。

演じる片岡愛之助氏も抜群の演技力を発揮していました。

f:id:owustet:20140719224219j:plain

そこ、着ぶくれしてるとか言わない!

『鎧武』っておやっさんポジションの歳食ったキャラクターが阪東さん以外にいないので、年配の役者が出てくると画面がぐっと引き締まるんですよね。

そのせいでラピスを演じる田中偉登くんの拙さが目立つ、という面もありましたが。14歳の若手俳優に説明の長台詞は若干キツイものがあった。

 

初代『仮面ライダー』の大きなテーマとして、「人類の文明の誤った方向への進行を、人間と自然の共存によって止める」みたいなところがある、というのは先だって漫画版『仮面ライダー』の感想に書いたことですが。

力を求める人間(フェムシンム)が自然にまで手を伸ばした結果生まれた怪物が敵として立ちはだかる、というのは『鎧武』のストーリーやテーマ的にもハマるところはあったと思います。

というか、普通に本編のIfルートとかでありえそうなエピソードなんですけどね、今回の映画。人工「知恵の実」を造ろうとしたら、最悪の怪物が誕生……みたいな。

他のシナリオライター虚淵玄)が作った世界をベースに、そういうストーリーを構築したのは、エロゲライター(鋼屋ジン)の面目躍如と言ったところでしょうか。

悪い言い方をすれば、燃え系エロゲーでたまにありそうな展開、ということですが。

そこに乗れるかどうか、が本作を楽しめるか否かを分ける気がします。

私はまあ乗れた方なのですが、合わないって人もそれなりにいそう。

 

しかしあれだな。

サッカーの存在でオーバーロードのラピスが驚くということは、ヘルヘイム世界にはまともなスポーツもなかった可能性が急浮上。

命を賭けなくていい勝負がある、というところに驚いてましたからね。ヘルヘイムの建造物からなんとなくわかってたことですが、フェムシンムって予想以上に未発達な部族だったのではと。

腕っぷしだけで人間をサル呼ばわりしてたデェムシュとか、ほんと地球人を笑えないぞ。

 

ともあれ、直前の『トッキュウジャー』がベタにいい話だったのも併せて、総合的には面白かったです。万人受けするファミリー向け作品と言うにはちょっと微妙なラインかと思いますが。

今作の脚本を担当した鋼屋ジンってデモンベイン(エロゲ)以外にネームバリューのある仕事って少なくて、この映画のパンフでもかの悪名高きアニメ『ギルティクラウン』が代表作として挙げられていたりするのですが。

今回はいいシナリオを書いてくれたのではないかな、と。

金田監督もお腹いっぱいのアクションを撮ってくれました。この映画、サッカーも含めると一時間ほとんど誰かがアクションしてる映画なので、金田監督というチョイスは正解だったかな。

 

それでは最後に、ラピスを力いっぱいシュートしながら。

f:id:owustet:20140719224246p:plain

ボールはともだち、こわくないよ!