横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

ドラマ『デスノート』第1話感想 ~キラキラ光る夜の月~

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原作漫画『デスノート』が始まってから10年以上。

一般常識からみて非常に珍しい名前のことを「キラキラネーム」と呼ぶようになったけど、「夜神月」が「キラキラネーム」なのは偶然の一致ながら面白いものを感じる。

 

そんなわけで放映前から物議を醸していたテレビドラマ版『デスノート』。とりあえず第1話は視聴率も上々だったとのことで。

原作漫画が2003年~、実写映画&テレビアニメが2006年~なので、実に10年近く間が空いたことになるんですねー。

当時デスノートを楽しんでいた世代はいま最低でも大学生くらいの年齢になっているはずなので、現在の学生層にもそこそこアピールできて旧シリーズのファンも呼び込める作品として、『デスノート』は悪くないチョイスではないかと。

●あらすじ(日テレ公式サイトより)

夜神月は、警視庁捜査一課に勤務する父・総一郎と妹・粧裕と暮らすどこにでもいるような大学生。弥海砂が所属する「イチゴBERRY」のライブに行く以外は、学業とアルバイトに精を出す日々だ。

ある日、彼の前に高校時代に少年刑務所に入った同級生・佐古田が現れ、親友の鴨田を恐喝。月は佐古田を止めようとするが、逆に携帯を取り上げられてしまう。その帰り道、空から一冊のノートが舞い落ちてきた。そのノート「Death Note」に〝名前を書かれた人間は死ぬ〟という説明書きを読んだ月は冗談のつもりで佐古田の名前を書きこむが、翌朝、佐古田が死んだという報せが…!

佐古田の死を大勢の人間が喜んでいる…恐ろしさと同時に奇妙な感覚を味わう月。そんな折、総一郎が10年前に逮捕した犯人が、仮出所中に警察官から銃を奪って民家に立てこもり、総一郎が人質の身代わりとなるという事件が発生する。父のピンチを救うため、捨てるつもりだったデスノートに頼ることになる月。父の命は救ったものの罪悪感にさいなまれる月の前に、デスノートの持ち主である死神・リュークが現れる。「このノートを使うも使わないもお前次第だ。お前の欲は何だ? 夜神月

それから一か月後。月はデスノートの力で凶悪犯を殺害し続け、ネット上で“キラ”と呼ばれる英雄となっていた。状況を重く見たICPO国際刑事警察機構)からの依頼で、本名も正体も謎に包まれた名探偵・Lが来日。総一郎たちと協力して捜査に当たることになる。

(脚本・いずみ吉紘 演出・猪股隆一

 

●今回のポイント

・キラキラネームには見えない普通の大学生、月

友達に付き合ってアイドル見に行って、居酒屋でバイトして、公務員志望で、と「なんとなく生きてる大学生」っぽさはかなり出ていたと思います。演じる役者さんの髪型や演技も「平凡な青年」の表現としては及第点、どころかかなりの好印象。

原作の「夜神月」らしさはないけども、まあそこは別物にするって明言してるから構いません。

この名前で区役所採用はちょっと厳しそうではあるがな……!

不良のクラスメイトとの再会、父と因縁がある殺人犯の出所、そしてデスノートを拾うという事態が重なって、だんだん後戻りできなくなっていく「平凡な青年」の姿は悪くなかった点。

平凡な大学生がどうやって犯罪者裁きに突き進むのかは放映前から気になっていたのですが、

やむを得ず二人殺してしまった後で、自らの精神を守るために「この力で世界をよりよく変えよう/変えなければならない」と自己防衛じみた論理の飛躍を図った

というふうに見えて、なるほどなと納得がいきました。

リュークにそそのかされて「悪人の手に渡るよりはマシ」と考えてしまった、という面もありますが。

であるからこそ、「救いようのない愚かな人殺し」とリンド・L・テイラーに言われて、とっさにノートに名前を書いてしまう。月としてももちろんそんなことは内心わかっているのかもしれないけど、その言い分を認めてしまうわけにはいかない。

月を追いつめていくプロセスや演出がじっくりとしてえぐい方が私好みになったのですが、けっこう軽かった印象。

今回のドラマ版『デスノート』は、見ごたえよりも見やすさを優先しているように感じます。

 

・女性陣のメンタルはボロボロ?

第1話の驚きは魅上がもう登場したことだったのですが、魅上とミサとの会話シーンはちょっと残念な出来だった。

顔がどうとか演技がどうとかいうのもまあありますし、

「私の家族返してよ!」

って、なんでそれを今になって魅上に対して言うのか。

「悪い奴を裁くのが法律じゃないんですか! それじゃ、法律って誰を守ってるの!?」

という台詞は月の行動原理にもつながるものとして必要な台詞ですが、その後に続く台詞としては違和感があった。とりあえず悲しげなこと言わせとこう、みたいな。

警察署の中で「あんな奴殺して!」発言をぶちかます粧裕といい、今作の女性陣はちょっとメンタル面に不安を抱えているなあ。

クールビューティー清楚高田にも期待が高まるのですが、どんな人が演じるのかな。そもそも出番はあるのかな。もしかして、今回ちらっと登場した月と鴨田くんの友人らしき女性が清楚高田なのか?

また、魅上とミサを早めに会わせておくのは今後の展開のための仕込みなのかもしれませんが、それを今後活かせるのかはちょっと不安なところ。

今回のテレビドラマは第一部・第二部のキャラクターが総登場といえば聞こえはいいものの、10話前後の本編で複雑な人間関係を捌ききれるのかどうかがちょっと不安要素。

 

リュークは悪魔か死神か
個人的に今回一番もやもやしたのはリューク

CGは許容範囲ですし演技もそれなりだった(さすがに中村獅童には及ばなかったという印象だけど)ので、ミサミサとは反対にビジュアル・演技面での不安はないのですが。

どうにもリュークと月の関係が原作ほどにはドライではない、と感じました。

退屈からデスノートを人間界に落としたのは共通なのですが、原作のリュークがなるべく月とLの対決の傍観者であったのに対して、「悪人がデスノートを拾ったらどうなるか」と月を煽ったり、「キラは平和を守ろうとしてるのによ」などとおだてたりしている。

「ノートを使うも使わないもお前しだい」だと言いつつも、ノートの使用をそそのかしているように見えて、ごくふつうの人間だった月が堕ちていくことを楽しんでいるニュアンスがあるのではないかな、と。
このテレビドラマ版のリュークは、「死神」というよりは「悪魔」と呼んだ方がしっくりきます。

少なくともこいつは、月が最期を迎えても冷ややかに自分のノートに月の名前を書きそうにない。なんか嬉々としてそう。

この辺りは、原作の月とリュークの関係を気に入っている私の好みの問題かもしれませんが。

 

●次回は?

さしあたり第1話は予想より面白かったので、次にも期待です。

次回はおそらくFBI捜査官との対決でしょう。全国共通模試1位でもなければ応用力が特にあるわけでもなさそうな月が、Lの捜査の包囲網にどう立ち向かうのか。

次回予告ではLがキラとして月に目を付けるシーンがありましたが、監視カメラのエピソードまではまだ進まない……かなあ。
果たしてポテチの袋に39,800円の小型テレビを仕込むおこづかいが月にはあるのか!?