『仮面ライダードライブ』第33話感想 ~帰ってきた赤いアイツ~
ついに最強フォーム・タイプトライドロンのお披露目がやってまいりました。
どことなく虫っぽさが残る顔と、トライドロンを模した全身のボディは、まさしくタイプスピードからの正統な進化形とでもいうべきデザインです。
額の銀色部分が眼のように見えてしまうのだけはどうしようもないけど……。
第33話「だれが泊進ノ介の命を奪ったのか」(脚本・三条陸 監督・諸田敏)
●あらすじ
フリーズロイミュード超進化態に倒されたドライブ。変身を解除した進ノ介は殉職。進ノ介を失った特状課は本願寺課長の判断で解散となる。
りんなから001の記憶改ざん能力の解毒剤を手に入れたチェイスは、単身ロイミュードのアジトに乗り込み、剛に与えようとするが失敗。フリーズの攻撃に追い詰められる。が、そのとき……!?
(テレ朝公式サイトより引用)
●今回のポイント
・誕生! シフトトライドロン
安直に奇跡が起こって蘇らなくてよかった……!
「とっさにベルトさんが生命維持装置の役割を果たした」
「ベルトさんを再起動させれば進ノ介は復活する」
「そのためには全シフトカーのエネルギーを結集させねばならない」
と、一応の理屈が通って復活したのはちょっと安心したところ。
さらにそれが、進ノ介とベルトさんの融合、および全シフトカーの能力をその身に宿せるタイプトライドロンへの進化をもたらした、というのも熱い展開です。
ベルトさん「私は進ノ介を死なせないために、自分のデータを彼の心に融合させた。その状態で蘇ったことが、この計算外の奇跡のドライブを産んだのだ!」
殉職ってさんざん煽ったのに死んでなかったのかよとか、なんで進ノ介が死んでないことに誰もすぐ気づかなかったんだとか、ツッコミどころはたくさんあるのですが、とりあえず気にしないことにしましょう……。
そして、なんとも動きにくそうだったフォーミュラのボディから一転、比較的軽装のスーツでフリーズとしっかり格闘戦をやってくれたのもよかった。
タイヤカキマゼールに関しても、分身して四方から炎+スパイクの一斉攻撃という視覚的にわかりやすい攻撃方法で、強さの表現としては及第点。
これまで交換して能力を使えるタイヤは一度にひとつずつだったので、なおさら強そうに見える、というのもあると思いますが。
・帰ってきた剛とタブレット蛮野
こっちは逆にちょっとガックリきたところ。
お前も特異体質だったのかよ……! まるで特異体質のバーゲンセールだな。
「操られていると見せかけて実は操られていない」方が好みだった、と以前文句をつけたのですが、「特異体質なのでずっと操られてたふりをしていたんだ」というのは、なんかズルい気がする……。
進ノ介と剛の二人ともが記憶操作の効かない特異体質だった、という事実を偶然で片付けてよいものか。
前回のやりとりを見るに、進ノ介が特異体質だったということをどうやらベルトさんは知らない様子だったので、当然ながら剛の特異体質も知らないはず。
となれば、進ノ介と剛は少なくとも「001の記憶操作が効かない特異体質だから仮面ライダーに選ばれた」わけではない。
ここは『W』の照井竜とちょっと変えてきた部分ですね。
であるならば、彼らが仮面ライダーとして選ばれたのはなぜか。
本願寺「仮面ライダーはただ体力や知力に優れてるだけじゃないんです。クリム・スタインベルトと私が、警視庁の中から選びに選んで唯一見つけた警察官。それが泊進ノ介なんです! 代わりなどいやしない!」
果たして、唯一見つけた、とはどういう基準なのか……?
クリムが生き延びていたことを考えれば、蛮野博士もAIとなって生存しているというのは予想がついていたのですが、こんなにあっさり登場するとは思わなかった。
しかも声が若い。
森田成一氏という人選はほんとに予想外。
どうやら幹部ロイミュードたちと行動を共にしていたようで、クリムみたいにロイミュードを葬ろうという意思はあまりないのかな。どちらかというと助言を与えて更なる進化をさせようとしていそうです。
今回は進ノ介復活の手助けをしてみせましたが、ロイミュードたちが超進化態となるにはドライブが必要だ、となると話は繋がりますし。
今後の物語をひっかき回す役割を担ってくれるのかな。
・相変わらずの物足りなさ
いきなり新アイテムを登場させてしまう、すっかりご都合主義的な天才発明家と化したりんなさん。今に始まったことじゃないけども。
まあ特撮ものにおける新兵器って往々にして前振りもなくいきなり出てくるわけですが、それにしても出し方が悪いのでは。
もともとシフトトライドロンはタイプフォーミュラで使うことを想定して造られたアイテムだったわけだし、せっかく3話構成のエピソードだったのだから、
31話・フォーミュラ単体でフリーズに負ける
32話・フォーミュラ+シフトトライドロンで戦うが超進化態に敗北。進ノ介死亡
33話・タイプトライドロンになって勝利
という3段階構成だったらよかったのになあ、と妄想を垂れ流してみる。
前もってシフトトライドロンを見せてしまうと「進ノ介が死んでもどうせこれ使って生き返るんでしょ」と思われてしまう可能性もあるにはありますし、今回は32話における「進ノ介殉職」というインパクトを優先した、ということか。
あと、前回・前々回のゲストキャラであった藤木親子が今回一切出てこなかったのも残念と言えば残念。
『ドライブ』においてゲストキャラの扱いがぞんざいなのも今に始まったことじゃないのですが……。
記憶を操作するフリーズロイミュードがこのエピソードの敵役だったのだから、記憶を回復して幸福を取り戻す藤木一家の姿をちょっとは見せてほしかったかなー、と。
「フリーズが倒されたので記憶操作が解ける」という描写が次回以降にあるようなので、そこでのフォローが多少は入るのでしょうか。
●次回は?
親切にも、「父の仇を討てたと信じて喜ぶお前は実に滑稽だ」と言い残して爆散した001。
進ノ介の父・英介をその手にかけたのは、どうやら強盗犯の根岸でも001でもなかった様子。
では誰が、何のために殺したのか?
25話から続いてきた001との戦いも一段落したので、新展開に期待したい。
しかしタイプトライドロンが出てしまったので、変形するトライドロンを本編で拝むことはもうできなさそうですね。