横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

『UNDER GROUN’ DOGS』第1巻感想 ~燃えて轢かれて落ちる人~

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面白い漫画を発見したのでご紹介。

特撮ヒーローとはあまり関係がないような、微妙に関係があるような。

タイトルは『UNDER GROUN’ DOGS』(アンダーグラウンドッグス)と読みます。

●どんな漫画?

わけあって中卒で寮暮らし、工場で働く17歳の少年・迫彰(さこ あきら)。
職場の先輩のいじめや、昔の友人たちとの温度差に耐えながら厳しい生活を送っていた彼は、ある日奇妙な女性と出会う。
女性の名は佐藤千鉄(さとう ちかね)、職業はスタントマン。
千鉄が演じる「立ち回り」を偶然にも目撃した迫は、彼女が生きるアクションスタントの世界に強く惹かれていく……。

作者は「黒丸」氏で、「月刊!スピリッツ」(小学館)にて連載中。

 

●この漫画のポイント

・アクションチームに取材して出来上がった、スタントマンの世界

現代において、アクションシーンのある映画を見たことがある、という人はたくさんいるでしょう。それを必ずしも俳優本人が演じているわけではないということも、誰もが知っているはず。

でも、そこを担当するスタントマンってあまり気にされてはいないもの。

迫「スタントマンって何? どんな仕事?」
千鉄「〝燃えて、轢かれて、落ちる人〟。世間ではただそれだけって思われてるみたいだけどね」
迫「違うの?」
千鉄「さあ……世間でどう思われていようと関係ない。もともと表に出る仕事じゃないし」

 (『UNDER GROUN’ DOGS』第1巻より)

最近は昨年秋に公開された映画『イン・ザ・ヒーロー』なんかもあって、アクションを演じる人々にも多少スポットライトが当たるようになってきたかな、とは思いますが、やはりどうしても「裏方」。

owustet.hatenablog.com

そんなスタントマンに興味を持った作者の黒丸氏が、実在のアクションチーム「A-TRIBE」に取材して描いたのが本作です。
映画やドラマ・CMなどにおけるアクションシーンの演出および指導をおこなっているチームとのことで、幅広く活動中の模様。
なんと『るろうに剣心』や『図書館戦争』などにもスタントで参加していたとのことで、名前も顔も知らないけど実はこのチームの姿を見たことがある、という人はたくさんいることでしょう。

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▲スクリーンで戦っていたあのキャラたちが、実は……?
そんな「A-TRIBE」の方々は本作における立ち回りの監修もされているとのことで、アクションシーンは読みごたえ抜群。

ただこの立ち回りを映像で見てみたくもあるので、実写化してくれないかなあ……と期待してみたり。もちろんアクションシーンは「A-TRIBE」に担当してもらって。

原作漫画がまだ1巻しか出てないのに我ながら気が早い。

 

・今度も若者たちのロマンスはあるか?

作者の「黒丸」氏といえば大ヒット漫画『クロサギ』を手がけたことで有名です。

かなり前ですが、山下智久主演でドラマ・映画化もされていましたね。

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 ▲若かりし頃の山下智久

クロサギ』は詐欺師の主人公・黒崎と検事志望の女の子・氷柱が主役。

黒崎の手による鮮やかな詐欺が描かれる一方で、ひょんなことから隣人となった氷柱との微妙な関係も大きな見どころになっている作品でした。

安直にべったりくっついて終わらなかった『クロサギ』の爽やかなエンディングも大好きなのですが、今作はちゃんとカタギの人間どうしなのでまた違った終わりが待っているはず。

迫くんは千鉄に惚れたのか、彼女のアクションに惚れたのか……今は同僚でも友人でもないふたりの関係が、この先どう変わっていくのか。それもこの漫画を読むうえでのポイントになるでしょう。

 

本作で取り扱われるのはあくまで生身の人間どうしのぶつかり合いがメインで、いわゆる「特撮」はほとんど出てきません。(CGで血しぶきを足さなきゃいけないし……みたいな会話はちょっとあります)。

けれど、CGや映像技術だけで何もかもこなせてしまうわけではなくて、文字通り体当たりでそれを表現しようとする人間がいてこそ成立するんだよなあ、ということを実感させてくれる漫画でした。
とても面白い作品なので、興味を持たれた方は是非。