横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

幼馴染を探る。 ~育てよヒロイン、負けるな幼馴染~ 前編

富士見ファンタジア文庫から発売中のライトノベル『冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた』1巻を読了。

来年のアニメ化が決定したとかいう情報を何気なく見ていたら、作者が丸戸史明氏だと知りまして。主にゲームのシナリオライターとして活躍している人で、最近の作品で言えば昨年秋の『WHITE ALBUM2』を手がけておりました。横須もホワルバのアニメ版の魅力にまんまと引っかかり、気づいたらゲームを購入して1週間そこらで全クリアし、一気に丸戸さんのファンになっていたのです(どう見てもにわか)。

『冴えない~』にもそのうち手を出さなければなるまいと思っていたのですが、先日たまたま立ち寄った古本屋に1巻が置いてあったので、まずはお試しのつもりで購入。本作がどういう話かといいますと、クラスメイトの女の子をヒロインに据えたゲームを作ることを思いついた主人公が、周りの友人たちを巻き込みながらまあドタバタするという、そんなストーリー(適当)。この周りの友人というのがクセモノで、幼馴染の新鋭イラストレーター(美人)と、上級生の学生ライトノベル作家(美人)。男1人・女3人のサークルとか絶対揉めるって。空中分解間近のバンドかなんかか。そういうラノベも前にあったなあ。

そして、一読して漂う澤村の敗北ヒロイン臭……!澤村というのは上に挙げた3人のヒロインのうち幼馴染のやつなんですが、これは完全にダメなパターンですよ。なんだかんだ主人公の熱意にずるずる引っ張られて協力しちゃって、気づくといつの間にか本気で好きになってしまって、最後には涙を呑む。そこまで予想してみた。著者コメントで「パッケージを飾るメインヒロインが一番人気にならないので今回は1巻表紙からメインヒロイン外してみた」と書かれているのですが、そんな不名誉極まりない1巻の表紙を飾ってしまった澤村の運命やいかに。

 

幼馴染というのは漫画・アニメ・ゲーム・ライトノベルなどあらゆるジャンルにおけるヒロインの特徴・属性として認知されているものです。ちびっこ時代からぼっちだった、というツワモノ以外の人なら、誰でも一人くらいは昔よく遊んだ相手がいるでしょう。それが幼馴染です……ただし、相手が異性とは限りませんが。

ちなみに横須にも幼馴染はいます。かつては入院した時に見舞いに来てくれる程度には友好的だったのですが、告白してフラれたり、その人が別の相手と付き合ったり、それから何年も経ってからしきりに「自分は現在フリーである」アピールをされたりしているうちに甘酸っぱい感情などは霞のごとく消え失せておりました。リアル幼馴染って怖い。

話を戻しましょう。幼馴染というと「朝起こしに来る」「一緒に登下校する」「窓から互いの部屋へ乗り移る」「親友以上の絆で結ばれている」などという特徴ともはやセットで語られていると言っても過言ではありません。「一緒に帰って噂とかされると恥ずかしいし」などとのたまう例外もたまにはありますが。彼女たちは昔の主人公を知っているよき理解者として影に日向に活躍し、支えになったり拠り所になったりもします。「今は仲が悪くなっている」幼馴染もたいてい作品中でよりを戻す……じゃない、昔のような気やすい関係に戻ります。

ところが近年のアニメ・漫画・ライトノベル・ギャルゲー市場においては、幼馴染は「敗北者」のイメージとセットです。彼女たちは主人公の気持ちを繋ぎ止めておくことができずに、ぽっと出の別ヒロインのもとへ向かう主人公を見送り、時には背中を押すことさえします。悲しいですね。

他のどのヒロインにも揺らがずに徹頭徹尾幼馴染への想いを貫き続け、見事にくっついて終わり、という作品は、なかなか思いつきません。もし知ってる人がいたら教えてください。とまあそんなわけで、幼馴染という属性は「他の恋敵に敗れる」ことと不可分になりつつあると言ってもいいでしょう。

ところがそんな幼馴染=敗北の図式をひっくり返す作品が、実はもう何年も前から存在し、今もまだ続いているのです……!

 

諸般の事情により、この記事、次回に続く。