横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

幼馴染を探る。 ~育てよヒロイン、負けるな幼馴染~ 後編

昨日の続きー。

 

さて、どう転んでも幼馴染が絶対的な勝利を収める作品、その名は『名探偵コナン』。

高木・佐藤刑事以外のほとんどのカップルが幼馴染、もしくは幼少時代に何かしらの因縁を持っているという脅威の漫画です。なんでこの作品の話になったかというと、この『コナン』のファンブックかなんかに「幼馴染は子供の頃から一緒にいるためにタブーの心理が働きやすく、恋愛対象にはなりにくい」みたいなことを書いてあったのですよ。じゃあ幼馴染ヒロイン敗北するのもしょうがないのかなー?と。

しかし『コナン』は幼馴染以外の異性がまともに登場しないので、どいつもこいつも幼馴染を異性として意識するしかないという、逆転の発想が敷かれています。幼馴染しかいなければ幼馴染が敗北する余地はない。とんでもねえな青山剛昌氏は。さすがにそんな閉じた人間関係だけでは話が持たないのか、ときおり新キャラがレギュラーとして定着することもありますが、読者が今更そんなぽっと出の連中にやきもきするわけがありません。いくら新キャラが目立とうが、コナン=新一が蘭のことしか考えない、蘭が新一のことしか考えない姿をもう数十巻もイヤというほど見せつけられていますから、新キャラごときが太刀打ちできるわけないのです。

コナン・蘭の関係に唯一対抗できるとしたら、それは蘭に匹敵するだけの時間をコナンと共に過ごしてきた灰原だけ。登場当初はいきなり出てきた新キャラだった灰原ですが、登場してからもう六十巻くらい経ってますからね。作中での時間経過はどうあれ、読者から見れば積み重ねは十分。新一と幼馴染だったヒロイン・蘭と、現在進行形でコナンと幼馴染的関係を築いていくヒロイン・灰原との対立が、『コナン』における恋愛要素の最大のポイントだと思います。家族ぐるみで新一と蘭が築いた十数年を、灰原が打ち崩せるか?という問題。

つまり主人公と一緒に積み重ねた時間しか武器がないんですよ、幼馴染には。で、積み重ねた時間がそれだけ長いということは、一緒にいることが当たり前になっていて、刺激が足りないというか、今更恋愛という感じでもない。要するに、主人公と共に未来を生きる意志が足りない。「これまで」に積み重ねたものがありすぎるから、「これから」も絶対一緒に過ごしたいという熱意が薄弱なんだと思うんです。そりゃ劇的な出会いをしたヒロイン連中には勝てないわけだわ。物語開始時点で出会ったヒロインって、主人公に会ってからの期間が短いぶん、主人公と未来を生きたい!という意志が強い奴が多いんじゃないかなー。

 

余談ですが、幼馴染というキーワードを考えた時にツッコミを入れておかなければいけない作品がひとつあります。『IS -インフィニット・ストラトス-』。掃除用具さんはまだ許すとしても、鈴は小5から中2まで一緒にいた程度で幼馴染呼ばわりとか片腹痛いわ。だからお前は二組なんだ。

というかあの作品世界、トチ狂って常識とか倫理観置き去りにしてきた連中ばっかりだからなー。反面教師として家庭環境と子育ての大事さを認識させてくれる稀有なライトノベルですよ、あれは。脇役である五反田家以外はほとんどのキャラクターの家庭が何らかのトラブル持ちで、主人公の親もヒロインの親も盛大に子育て失敗してますからね。どうりで機密兵器で主人公を殺害しにかかるヒロインが出てくるわけだ。

円満な家庭が健やかなヒロイン、健やかな幼馴染を育てるのである!ということで。