横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

『仮面ライダーウィザード』を探る。 ~ひとりぼっちのW/相棒はどこだ~

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関西ローカル局サンテレビ」で今日の朝7時から始まりました、仮面ライダーウィザード。鎧武の放送中なのにまたずいぶんと早い再放送だなあという感じですが、ウィザード本放送時にこの枠でオーズとかフォーゼやってた気もするし、まあいいか。

 

そんな『ウィザード』、個人的には非常にもやもやしたものを感じる平成ライダーです。決してつまらないわけではないんですが、終盤の展開があまりにも私の期待から外れたものになったので、いまいち素直に評価できない。勝手に期待していたこっちが悪いのだとわかってはいるのですが。

個人的に指摘したい本作のポイントとしては、「相棒の不在」が挙げられます。仮面ライダーは初代も含めてかなりの作品において、「バディもの」的要素が組み込まれています。本郷に対する滝や一文字といった具合ですね。必ずしも一緒に戦う仲間とは限りませんが、平成シリーズにも多少の違いはあれ「主人公と並び立つ誰か」がいました。メインキャラ2人の友情とか関係の変化というのは、まあドラマを作りやすいという面もあったのでしょうが、多くの作品で採用されている。

ところが、仮面ライダーウィザードこと晴人には、パートナーらしいパートナーがいない。

仁藤は相棒というより風来坊だし、お互いにあんまり関わろうというつもりがない気がするんですよ、晴人と仁藤。同じ魔法使いだからまあ悪くない関係は築いてるんだけど、人間的に合うタイプではないように見える。魔法使い=ライダーになった経緯も違うし、お互いに相手の理解者になることはできないのではないかと。

瞬平は論外。少しずつマシになってきましたが、最序盤やいくつかのエピソードでは邪魔ばかりだったし、そうでなくとも賑やかしにしかなってなかった。助手としてはコヨミの方がはるかに有能だったし。

私としては中盤辺りまでずっと、凛子ちゃんが相棒ポジションというかもう一人の主人公に来るのかな、と思ってたんですよ。

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怪人への歩み寄りという仮面ライダーでしばしば取り上げられるイベントをこなしたり、フレイムドラゴン登場回で晴人の内心を唯一聞いていたりと、彼女だけ「準主役」と言ってさしつかえない働きを見せている。

自分の意思とは無関係に力を得てしまった晴人と、

誰かを守りたいと願っているけど何の力もない凛子ちゃん。

対等な相棒にはなれない2人だけど、この関係がきっと本作の最終的な落としどころに関わってくるんじゃないかと予想してました、放映当時は。

ところが実際にはフェニックスを片付けた頃から凛子ちゃんの空気化が少しずつ進行していき、最終的には瞬平とそう変わらないレベルの脇役になってしまっていた。それが私は不満でならなかった。

結局晴人はどこまでもひとりぼっちじゃないか、と。

もっとも、個人的な印象を抜きにしてもウィザード最終クールの脚本はあんまり褒められたものじゃないと考えていますが。小出しにしてきた謎が視聴者の予想を超えるものではなく、こぢんまりと終わってしまった。

 

テーマだなんだというシリアスな部分においてだけではなく、日常パートやドラマシーンにおいても晴人というキャラクターの魅力だけで本作は回っていた気がします。特に後半。極論、凜子ちゃんや瞬平がいなくても話が進むエピソードは結構あったような……。

前作『フォーゼ』では、メイン3人以外の部員たちにも、それぞれ何らかの事情や過去があったし、家族やライダー部以外の交友があった。そしてその友人達がゾディアーツになったりもして、部員のキャラクター描写に多少なりとも貢献したわけです。

けれどウィザードにはそれがない。凜子も瞬平も、掘り下げらしい掘り下げがろくに存在していない。もちろん彼らにキャラクターとしての深みがまったく無かったというわけではないんですが、

まずもって晴人以外に目立った奴いたか? という印象をぬぐえません。

 

基本的に何か挑戦し続けるという作られ方をし続けてきた平成ライダーシリーズの中にあって、ウィザードは挑戦と呼べるものが「魔法」モチーフ以外にはあまりなかったと思う作品でした。なんというか無難すぎるように感じたんです。

フォーゼや鎧武みたいにデザインではっちゃけろとは言わないし、アギト~ファイズ並のストーリーをやれというわけでもないが、そういうものを期待していたのもまた事実。

平成ライダーに毒された目からすると、安心感はあるんだけどドキドキは少なかった。その辺は現在放送中の鎧武が補ってくれているかな、と思いつつ。

でもウィザードもフェニックス倒すまでの話は基本的にどれも好きなんですよ。アクションが終始頑張っていたのも好感触。マーシャルアーツを取り込んだ華麗な殺陣は一見の価値ありです。毎週ここまでできるんだ、と感心しきりでした。

それから主人公である晴人の魅力ですね。

普通の青年なのに、魔法使いになったからには、と突っ張って、飄々とした余裕ありげな態度を保ち続けているところ、すごく好きです。そういう点において晴人は最後まで心を休められる場所を持たなかったというか。

確かに救われはしたのかもしれないけど、本当にみんなそれでいいのか? と感じるオチだったんですよねえ、ウィザード。

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