『仮面ライダードライブ』第25話感想 ~ライダーなれども忍ばない~
進ノ介「忍ぶどころか、暴れるぜ!」
第25話「新たなる闘いはなぜ始まったのか」(脚本・三条陸 監督・諸田敏)
今回は、これまでの『ドライブ』の中でもいいデキでした。
「多賀が融合進化態になる」というスタートから、
ロイミュードの体組織サンプルが必要→霧子、チェイスのもとへ→チェイス、霧子に協力
入院中の早瀬が狙われる→マッハでは多賀を助けられない→進ノ介、やむを得ず衆目の中で変身
そして「ドライブ=進ノ介だとバレる」というクライマックスに繋がる。
スタートからゴールに至るまでのシナリオが筋道立てて出来上がっており、様々な要素がハマっていました。(重加速は発動していなかったので、その気になれば早瀬を逃がしてこっそり変身できたのではないか……? という疑問はありますが)
それだけに、
これまでの前半2クールがもっと上手くできていれば、今以上にハイレベルな作品になっていたのになあ……!
と残念にも思います。
まず、「特状課は役立たずの窓際部署」というマッハ登場回以来ひさびさに言及された設定。
フォーミュラ登場回の魔進チェイサー大暴れをはじめ、ロイミュード関連の事件はこれまで幾度も起こっています。なのに、捜査一課はいまだに「怪人も仮面ライダーも都市伝説。特状課は役立たず」というスタンスで、現状を把握できていない。無能にも程があります。
そもそも捜査一課の出番が少なすぎて「特状課VS捜査一課」という対立軸がみじんも存在していないので、かなり不自然。
また今回は進ノ介がかなり露骨に「特状課への愛」を見せていて、いつの間にそこまで特状課を気に入ったの? という疑問がつきまといます。
確かに特状課メンバーがいなければ解決できない事件は多々あったし、仲間たちに感謝しているというのも進ノ介の感情の動きとしては自然です。しかし、それを視聴者に見せる努力は足りていなかったのではないか、と言わざるを得ません。
16~20話と、りんなさん・現さん・究ちゃんをフィーチャーしたエピソードが続きましたが、それらの回で進ノ介が彼らを仲間として強く意識したかというと、答えは「ノー」でしょう。
さらには「刑事と仮面ライダーの二重生活は相当ストレスなんだな」なんてわざわざ剛に言わせてしまうのも、「刑事と仮面ライダーの二重生活が大変だった」という描写の積み重ねがこれまで足りていなかったことの証左でもあり、
スタッフの敗北と言えます。
素顔を隠していたヒーローの正体がバレるというのは、サブタイトルにもある通り物語のターニングポイントとなる出来事です。
この25話はいわば、前半2クールの総決算となるエピソードでした。
ですが実際には、ステレオタイプの嫌味な上司を出したり、説明台詞を多く入れたりと、これまでのダメダメだった部分の尻ぬぐいをしていた印象が多少あります。
また多賀にしても、今回いきなり出てきて、「むかし早瀬に逮捕されていた」という回想で済ませてしまったのが少しばかり残念。もうちょっと前振りが欲しかった。
困難なのはわかっているのですが、入院する前の早瀬が誰かを捕まえている描写を入れておいて、今回そのシーンを持ってきたらなお良かったのではないかな、と考えたり。
早瀬と言えば、確か最初期は車椅子だったのですが、今回は松葉杖で出歩ける程度にまで回復していて、決して短くない時間が作中でも経過したのだと感じたところ。
進ノ介とへたり込む早瀬を一緒に映しながらの、
「俺は、早瀬を二度も目の前で倒れさせるわけにはいかないんだ!」
は、演じる竹内くんの声や表情も鬼気迫っていて、非常に良かったシーン。
一方、ついに出番もなくなってしまったブレンにかわって(?)、ほんの一瞬ですがロイミュード001が一瞬だけ登場。チェイサーと入れ替わりの新幹部ということなのでしょうか。
『ドライブ』はハート様&ブレンの扱いが悪くて、幹部としてあまり強そうには見えなかったし、存在感も正直なところ薄かったんですよね。
ハート様→デッドヒートに撃退される
ブレン→印象に残るまともな戦闘シーンがそもそも少ない
二人とも中盤で処理されてしまいそうな、「前座の幹部」程度の活躍しかしていない。
メディックも物語の進行に必要な存在ではあったのですが、悪役として魅力があるかどうかというと、ちょっと疑問。
それだけに、ナンバー001という新キャラの登場で、物語がどう動くのかは期待したい部分です。
というわけで次回……えっ、仮面ライダーチェイサー?