横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

『仮面ライダードライブ』第32話感想 ~追田現八郎の口から出る言葉はなにか~

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りんな「では問題。人間に化けて悪さをする機械生命体は?」
現八郎「ロリショージョ……モエニュード……ホイコーロー……コイニョウボウ……ロイモーチョー……」

現八郎「つながった! ロイミュード!」

りんな「おめでとう現八!」

なんか最終回で現さんとりんなさんが何食わぬ顔で結婚するための布石が積み重ねられてる感じ、しますよね。しませんか?

 

第32話「進化の果てに待つものはなにか」(脚本・長谷川圭一 監督・山口恭平) 

こういう回があると、『鎧武』でいきなり2話完結方式を崩したことにも意味があったのかな、と思います。

平成ライダーシリーズのひとつの特徴である2話完結方式ですが、とりわけ『W』はこの方式をがっちり遵守していて、最終回を除けばすべて2話完結のフォーマットが保たれていました。

以降も『オーズ』終盤や『ウィザード』の1話完結エピソード以外ではずっと2話完結方式で、3話以上にまたがって続くエピソードはありませんでした。

もちろんこれは、「どこかのエピソードを見逃してもメインストーリーにある程度ついていける」というメリットがあるのですが、その反面でマンネリのような雰囲気を生み出していたとも考えられます。

通常エピソードと重要エピソードの尺がまったく同じとなると、重要エピソードがどうしても詰め込み気味になってしまいますしね。

『鎧武』は序盤から2話でエピソードを終わらせない方式で、1度でも見逃すとストーリーについていきづらいという欠点はあったのですが、物語を構成するうえでのある種の柔軟さを平成ライダーシリーズに取り戻させたのではないかな、と思います。

「2話完結お悩み相談方式」もそろそろ苦しくなってきているというか、成功するにせよ失敗するにせよ、現状を打破しようとすることは必要だよな、と。
『ドライブ』で結局また2話完結方式に戻りはしましたが、クリスマスの回(9~11話)や今回(31~33話)で3話にまたがるエピソードが出てきていて、これはいい傾向だなと感じます。

なにしろ『ドライブ』は盛り込まなければいけない要素がやたらと多かった。

・被害者と犯人がいて事件を捜査するという、「刑事ドラマ」のフォーマットを遵守
・多数のシフトカーをはじめとする玩具販促
・毎回の怪人とのバトルにくわえて、チェイスとの因縁も描写

個人的には普段から詰め込みすぎな印象を受けていたので、もしかすると3話完結エピソードの方が見やすかったのではないかという気すらします。

 

さておき真影との対決も大詰めとなってきた今回。

以前の記事でも述べましたが、日本の政界にここまで深く食い込んでいると描写された幹部怪人も平成ライダーでは久々だなあ。

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スマートブレイン(『555』)や天王寺(『剣』)はいまいち権力のスケールがわかりづらかったし、ネイティブ(『カブト』)もあまり存在感がなかったので、これほど存在感があって暗躍してくれた怪人はほんとに新鮮。

権力を利用して自分の能力が効かない人間を洗い出しただけではなく、それを殺してしまわずに研究材料として使い続けてきたというのも怖い。

おそらく特異体質の人間にも記憶操作が効くような研究を進めていたものと思われますが、藤木パパはともかく、拉致されてからずっと人体実験をさせられてきた被害者が複数名存在する、ということですよね……。

しかしその一方、忘れちゃいけないのがりんなさん。

進ノ介の身体に打ち込まれた記憶操作の針を使って、みごと記憶操作の解毒剤を作り出してみせた。あとついでに現さんを臨床実験に使った。さすが開発担当。

問題は真影とりんなさん、やっていることがほとんど同じということ。
すなわち、ふたりとも特異体質の人間を材料として使い、研究を進めた。
なのに真影は悪人と断じられ、りんなさんは特状課メンバーから称賛される。
なぜかというと、真影の研究は人間の役に立たないし、りんなさんの研究は人の役に立つから、ですね。

(真影は被験者を拉致して無理やり研究を進めた/りんなさんは進ノ介の同意を得て研究をした、という点ももちろんあるのですが)

食べ物の「発酵」と「腐敗」は人間の役に立つ(食べることができる)ものになるかどうかで呼び分けられているにすぎない、というのは有名な話ですが、真影とりんなさんにもそれと通じる部分があるでしょう。
「すぐれた技術はその使い方、それを扱う者の価値観しだいで善にも悪にもなりうる」というのは非常に古い題材ですし、『仮面ライダー』の重要なテーマのひとつでもあります……が、善悪なんてものは結局、人間が決めた価値基準でしかない。

ロイミュードはもちろんのこと、フィクションの中に出てくる悪役とはおおむね「人間が定めてみんなが従っている価値観が通用しない」存在なのですが、それをやっつけるヒーローを「正義の味方」と呼ぶのも不思議な話ですよね。

「俺が正義だ」というスタンスのヒーローもまあ多少はいますが、たいていはあくまで「正義の味方」である。ここらへんも真面目に考えてみると面白そうですが、それはまた別の機会に。

 

さて次回はいよいよ決着編。

超進化態フリーズに敗れて死んでしまった進ノ介ですが、彼は果たして生き返るのか否か。

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命を落とした生物を甦らせるという技術もまた、使い方によっては善にも悪にもなってしまうものである。仮に生き返るとして、誰がどうやって進ノ介を生き返らせるのか。その決断は誰がするのか?

とかなんとか言いつつ、「ま、タイプトライドロンも出るし次回で進ノ介はあっさり生き返っちゃうんだろうなー」と私も思っています。大多数の視聴者が思っているのと同様に。

あとは剛の存在感がこのところ非常に薄くて悲しい。一時期のチェイス並に単なるお邪魔キャラと化してるというか、第2クールまでのチェイスと役割交代しただけに見えるというか……。