映画『シュガー・ラッシュ』感想 ~幕が下りて、それぞれの未来へ~
明けましておめでとうございます。2015年もよろしくお願いいたします。
新年1発目はこれ!
ディズニーによる2012年公開の3DCGアニメ映画『シュガー・ラッシュ』。
ちょうど『ベイマックス』とか『アナ雪』とかやってるしなー、ということでひとつ。
また面白いんだこれが……。
おおざっぱに言うとゲーセン版『トイ・ストーリー』なのですが、これはこれでかなりの完成度です。
※以下、ネタバレ注意。
それではざっとあらすじ。
ゲームセンターに置いてあるゲームのキャラクターたちは、それぞれが人格を持っており、営業時間内はそれぞれのゲーム筐体を舞台に働いているものの、閉店中はコンセントを通ってお互い交流を持っていた。
アクションゲーム『フィックス・イット・フェリックス』で30年間も悪役を務めてきたラルフは、自分の立場に嫌気がさし、ヒーローになりたいという願いを持っていた。
各ゲームの主人公に報酬として与えられるメダルを求めて、とうとう自分のゲームを飛び出したラルフ。シューティングゲーム『ヒーローズ・デューティ』に潜り込んでどうにかメダルを手に入れるものの、脱出の際に敵キャラであるサイ・バグを孵化させるという失敗を犯す。
サイ・バグもろともお菓子の国のレースゲーム『シュガー・ラッシュ』に迷い込んだラルフは、そこで出会った少女・ヴァネロぺにメダルを取られてしまう。
ラルフはメダルを取り返すべく、プログラムの不具合のせいでレース出場を禁じられたヴァネロぺに力を貸す羽目になるのだった。
一方、ラルフの消えた『フィックス・イット・フェリックス』もまた、不具合とみなされて撤去されかけていた。主人公のフェリックスは、ラルフを探すため旅立つが……。
ゲームの話と侮るなかれ。
この映画の魅力は、シンプルながら伏線がうまく効いたストーリー。
のちに『アナと雪の女王』で監督・脚本などを務めるジェニファー・リー女史が、今作の脚本として参加しています。というか、有名な仕事がこの2本くらいしかないのか……?
大どんでん返し! というわけではなくて、しっかり考えながら観ていればなんとなく予想がつく程度のものではあるのですが、その予想通りのものをばっちりやってくれる、という面白さ。
もちろん頭を空っぽにして観ると後半の展開には脱帽間違いなし(劇場公開時の私がまさにそれ)。
いずれにしても余計な予備知識なしで臨んだ方が面白いことは確実なので、ネタバレ注意とか書いておきつつ多くは語りません。
ああでも、メダルをもらうあのシーンで涙が滝のように(以下略)
キャラクターも魅力的。
カッとなりやすくはあるものの悩み多き悪役(主人公?)ラルフ、毒舌でちょっとウザいけど根は優しいヴァネロペ、ゲーム中では敵どうしながら実はラルフと仲がよくて面倒見のいいフェリックスなどなど。
特に壊すことしかできないラルフと、直すことしかできないフェリックス、という対比も注目すべきポイント。
ラルフはヴァネロペを手伝ってレース用のマシンを製作するのですが、そのシーンをちゃんと描いているからこそ、二人で作ったマシンに関する後々の展開がぐっと引き立ちます。この辺も脚本の妙だよ!
何かを壊せるからこそ生み出せるものもきっとある、というのが本作のメッセージだと私は思っていて、そこがすごく好きなのです。
メインを張る登場人物はいずれも架空のゲームのキャラなのですが、国内のゲームの版権キャラクターがゲストとして登場、というのも面白いところ。
有名どころでは『スーパーマリオ』のクッパ、『ソニック』シリーズのソニック、『パックマン』の幽霊(モンスター)あたりでしょうか。
みんなチョイ役なので、版権キャラたちの登場に期待して観ると肩すかしを食らうでしょうが、コナミコマンドをはじめニヤリとできる小ネタも満載。
版権キャラクター関係なしに楽しめる内容ですしね。
ゲーマーはもちろん、ゲームの知識がまったくない人にもお勧めできる一本。
約100分という短めの映画なので、興味を持たれた方は是非。