横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

映画『ゴジラ』(1954)感想 ~怪獣王誕生!~

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流行りに乗っかって、というわけでもないですが、7月にNHK BSプレミアムで放映された「60周年記念デジタルリマスター版」を今更ながら視聴。ちなみに初見です。

自分で録画した映画って、「いつでも見れるからいいや」と思って溜めちゃうんですよね……。

 

では本作のあらすじ。たぶん割と有名。

 

貨物船「栄光丸」を皮切りに、日本近海で船舶が相次いで沈没する事故が発生。生き残ったのは、大戸島の漁師ただ一人。島の長老によれば、大戸島にはゴジラなる怪物の伝説があるというのだが……。

そんなある夜、暴風雨とともに巨大な何物かが島に上陸し、甚大な被害をもたらす。その破壊痕は、生物によるものとしか考えられなかった。

 

一連の事件を受けて、生物学者の山根博士をはじめとする調査団が現地へ向かうことに。調査を進める彼らの前に、ついに体長50メートルの巨大生物――ゴジラが姿を現した!

壊滅した村から放射能の反応が出たことと、現場で三葉虫が発見されたことから、「ジュラ紀から生息し海底に潜んでいたゴジラが、水爆実験で住処を失い、地上に現れたのでは」との仮説が立てられる。

その頃、山根博士の娘・恵美子は、記者に頼まれて元婚約者・芹沢のもとを訪れていた。芹沢はゴジラ対策に有効な研究をしていると噂される、若き科学者なのだ。だが芹沢は早々に記者を追い返してしまうと、「ある極秘の実験」を恵美子にだけ見せるのだった。

 

政府主導で行われた爆雷攻撃も甲斐なく、ゴジラはとうとう東京に到達する。機関銃も、高圧電流を流した鉄条網も、水爆に耐え抜いたゴジラにはまったく通用しない。

果たして人類に、ゴジラを止める術はあるのか――

 

ということで。

特撮映画は「壊してナンボ、燃やしてナンボ」だと思ってます。それだけやってりゃいいというわけではないですが、特撮ならではの迫力ある映像が見どころのひとつであることは間違いないでしょう。

平成ライダーでも毎年のように序盤で車壊してるしね!

 さてこの初代ゴジラ、派手さという点ではそこまで突出したところはないように見えます。

当時の技術からすればかなりハイレベルなことをやっている

という痕跡は見受けられますが、爆発とか特撮がすごい、という気はしませんでした。

この感想は今の特撮映画を見慣れてるから、というのが大きいと思いますが。

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それよりもこの映画、かなり怖いです。

あえてゴジラの全身を映さない大戸島襲撃のシーンや、ゴジラの攻撃で鉄塔が溶けてぐにゃーっと曲がるところが特に記憶に残りましたね。

そもそも冒頭からしてスタッフロールと共におなじみのテーマ曲が流れるので、もう不安感を煽られる煽られる。

デカいことが起こるぞ、というシーンではBGMが大きめになって、しっとりするシーンだとBGMの音量が抑えめになってた気がするので、結果的にあのおどろおどろしいゴジラのテーマが際立ちます。

 

ただ、「ゴジラ反戦映画だ」って昔どっかで聞いたことがあったんですけど、そうでもなかったような。

それよりも、科学技術の進歩とその力の使い道とかという問題の方が比重強めで、反戦映画というよりは「反核映画」の方が意味合いとしては強そう。

さらに言えばこの映画、「人間批判映画」なんじゃないかと。

水爆でゴジラを呼び覚まし、そしてオキシジェンデストロイヤーゴジラを殺した。

どちらも科学技術を用いて人間が引き起こした事態です。

ほんとに人間って罪なイキモノだなあ……。

そういうドラマパートを割り振られている人間側のメインキャラクターたちはうまいこと対比ができていた感がありました。

生物学者の山根博士。

その娘・恵美子。

恵美子の元婚約者・芹沢。

この三者はそれぞれ異なるスタンスを取っています。

ゴジラを殺すことを厭い、研究対象としての価値を主張する山根博士。

兵器に転用可能なオキシジェンデストロイヤーを開発してしまい、それを使うことを恐れる芹沢。

そしてゴジラの被害に遭って苦しむ子供たちの姿を前に、オキシジェンデストロイヤーの使用を求める恵美子。

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みんな一面では正しい主張をしますが、「でもそれって人間のエゴだよなー」と思ってしまう3人。

この中でもっとも業が深い奴を選ぶなら、

オキシジェンデストロイヤーゴジラを倒そうと考えた恵美子

のような気がします。

 

山根博士も芹沢も、言っていることは間違っていません。あくなき探究心が人間を成長させてきたことは事実です。一方で、それが数々の悲劇を生んできたこともまた事実。

そんな両者の主張を承知のうえで、

「それでも」恵美子はオキシジェンデストロイヤーゴジラを殺すと決断するんですよ。

山根博士も芹沢も、両方を恵美子が裏切った形です。

苦しめられる人々を一人でも減らし、生き残るために。

もちろんその行動や決意そのものはかなりヒロイックなのですが、

「生きるために他者を殺す」という人間の性質(原罪?)を体現してるのは恵美子だな、と。

そしてだからこそ、人間は手にした力(水爆しかりオキシジェンデストロイヤーしかり)の使い道についてちゃんと考えなきゃいけないんですよね。

 

総じて、色々考えさせられる映画でございました。

NHKでこの夏に放映したゴジラシリーズは全部録画してあるので、他の作品もぼちぼち観ていかねば。