『仮面ライダードライブ』第29話感想 ~俺もお前も裏切るぜ~
マッハ「ロイミュード側に寝返ったよ!」
3号「裏切りは仮面ライダーの代名詞」
チェイス「俺も3週間前に人間の味方になった」
みんな裏切り過ぎでしょ。
第29話「強盗事件で本当はなにがあったのか」(脚本・香村純子 監督・田崎竜太)
ストーリーとしては予想通りというか、次回に向けての溜めに終始した感じかなーと。
進ノ介の父親の死に関する謎、その裏で起こる剛の裏切り、プロトドライブシフトカーの回復、と盛りだくさん。詰め込みすぎとも言う。
とくにプロトドライブシフトカーはまだ早かったのでは。チェイスの過去の記憶は、半年前のグローバルフリーズに関わる重大事だし、もうちょっと後に引っ張ってもよかったんじゃないかな、と。
今回の白眉は、
「人間を守るのが仮面ライダーの使命ではないのか!」
というチェイスの台詞。
チェイス自身がその使命をよりどころにして自身の同胞を裏切り、仮面ライダーとして戻ってきたことを考えると、重い言葉だなあ。
人間を守る仮面ライダーとして復帰したと思ったら、マッハはいきなり襲いかかってきたりあやうく人間を殺しそうになったり(前回)。ドライブは我を忘れてロイミュードに襲いかかり、マッハをも攻撃する始末……。
これもなかなか面白い構図ですよね。
「仮面ライダーは人間を守るもの」というコマンドに従い始めた矢先に、他の仮面ライダーが人間を守らずに個人の感情に振り回されている。
それがどちらも家族絡み、というのが家族を持たないチェイスにとって混乱を引き起こす。
家族の、あるいは大切なもののためなら、人間はいくらでも暴走するし、残酷にもなれる。
最終的な落としどころとしては「大切なもののためならどこまでも強くなれる」ということになるのでしょうか。チェイスにもいつか大切なものができるのかな。
18話で「自分たちは人間の感情を学ばなければならない」とハート様が言っていたけど、ブレンやチェイスは今まさに自分の身をもって人間の感情を学習しているんだよね。
その一方で「友達」に固執しているらしいハート様や、ハート様以外の連中をとにかく見下しているメディックも、違う方向で感情を学んでいるとも言える。
機械生命体でありながらいち早く嫉妬や憎しみの感情を得たという点で、実は幹部たちの中でブレンが一番人間に近づいてきているのかなーとも思います。
今のところストレートに「愛」とかいうクサいものに走っていない点は評価したい。機械生命体が同胞に対する恨みで感情を持つ、というのは面白いです。
意図的に作られたネタキャラというお寒い印象があってブレンさんはあまり好きじゃなかったのですが、ここ数話でちょっとずつ気になってきました。
さて次回、予告で「決着!? マッハVSチェイサー」って煽ってたけど、決着はともかくとしても次回すんなり剛が戻ってくるとはとても思えない。
ロイミュードをすべて破壊するという決意を剛が持ち続ける限り、二人が仮面ライダーとして相容れることはない。
ここで剛が「ロイミュードは全部壊すけどチェイスは例外」というところに落ち着いてしまうと興醒めですね。それは剛の意志を強引に曲げるということ。
それよりは、ベタだけど「108体のロイミュードをすべて倒したら俺を壊せ」ってチェイスが剛に持ちかけるという展開なら、落としどころとしては悪くない。
剛とチェイスの因縁がどのような形で解決するか、というのは『ドライブ』随一のビッグイベントになりうる要素なので、納得のいく決着を見たいところですが……。