『仮面ライダー鎧武』第26話感想 ~みんな誰かに踊らされてる~
前回「大橙丸、初の単独必殺技」と書いたのですが、第3話でインベスゲームを挑んできた初瀬ちゃんをおちょくった時に使っていたことが判明。あまりにも印象が薄かったので忘れておりました。すまん大橙丸。
さて、面白い展開にはなってきたんだけど、いささかの違和感を拭い去れない……そんな今週の鎧武。
悩みを察知した舞に問い詰められ、一晩で洗いざらいしゃべってしまった紘汰。冒頭のこのシーンももう少し間の取り方が長ければ悪くなかったのですが、ちょっと訊ねられただけであっさりバラしてしまったように見えることとなりました。
真実を知った舞は、チームメンバーと協力して街の人々にそれを知らせようとすることに。合同ダンスイベントで濡れ衣を晴らそうとしたことからもわかりますが、どうやら舞は紘汰と同じかそれ以上に正義感溢れている様子。幼馴染ゆえなのか、それともどちらかが影響されて似た性格になったのか。そもそもついこないだまで市民にボロクソ言われてたのに、なぜみんなに信じてもらえると思ったんだ。
軽率極まりない舞のやり方に、とうとうミッチも怒髪衝天……したわけではなく、たぶんバラされると困るので初級インベスを召喚。舞の行動を妨害しつつそれを自分で退治して株を上げるというミッチポンプ、もといマッチポンプを開始します。乱入してきた紘汰によってインベスは蹴散らされますが、舞の計画はもろくも崩れ去る。すべてを明かしてしまった紘汰に詰め寄るミッチ。
「舞さんを悲しませるあなたに、もうヒーローの資格なんてない!」
次回予告でも使われていた言葉ですが、つまりミッチはずっと紘汰のことをヒーローだと思ってた、ということですかね。初期のエピソードでミッチから紘汰に憧れめいたものがあることはちょっぴり描かれていたのですが、やっぱり2人の間にあるであろう積み重ねを見せてくれないと盛り上がりが足りないなあ。
今回のような台詞を言わせたいなら、紘汰がミッチにとってどういう救いをもたらしてくれたヒーローなのか、という回想を挟む、もしくはあらかじめ描写しておいた方が話の筋が通ったのでは。それがあってこそ、舞にすべてを打ち明けるという紘汰の行為がミッチにとってどれほどの裏切りだったのか、ということも伝わると思うし。
メインターゲットであるちびっ子がこの辺のストーリーに対してどういう感想を抱いているのかわかりませんから、あくまでも歳食った大人の難癖に過ぎませんが。
さて、一方その頃、(誰もが思ってても口に出さなかった)力不足宣言をされた戒斗は、ゲネシスドライバーをもらって戦力強化。初登場補正もあってデェムシュと互角に戦います。
初登場補正込みでやっと互角なのか……!
ところが、割って入った紘汰とレデュエによって戦闘は中断、デェムシュは撤退。怒りを露わにする戒斗は紘汰に斬りつけ、紘汰が応戦しようとしたところで、背後からミッチの銃撃――そして、次回に続く。
今回はたぶん「そろそろミッチを(気持ちの上では)完全に紘汰と決別させておきたい」というのがシナリオのコンセプトとして存在していたのでしょうが、そのためにどのキャラも割を食うことになってしまったかな。
ミッチが紘汰を撃つというシーンのためには、ミッチにそれだけの怒りを抱かせねばならず、そのために紘汰は舞に全部バラさなければならず……という具合に、結論先行でシナリオが作られてるから、過程をすっ飛ばす必要が出てくる。それゆえにみんな性急な行動を起こしてしまう。
今回のザックの言葉を借りるなら、「いいように利用されてるだけじゃないのか!」ということで、誰に利用されてるかというと作品世界に対する神=脚本なんですよねえ。ストーリーの都合でキャラクターが振り回されていることを強く感じられるエピソードでした。。
それに囚われていないのが戒斗や凰蓮。戒斗は力のことか淘汰のことしか考えていないのでブレる余地がなく、凰蓮はとにかく人の話を聞かない奴。言ってることはメチャクチャなんですが、メチャクチャなりに確固たる芯だけは通ってますからね。流されやすく本筋に振り回される紘汰やミッチたちを動かすのは、この二人なのではないかと思うのですが……はてさて、どうなることやら。