『仮面ライダー』第7話感想 ~地獄からの使者、仮面ライダー~
ショッカーのアジトに単身潜入するも罠にはまり、密閉空間に閉じ込められてしまった仮面ライダー。
そのエネルギーは無限に続くものではなく、新たにエネルギーを得るにはベルトの風車を回さなくてはならないのだが、狭すぎる空間では風を得られない。変身が解け、迫りくる天井に押し潰されそうになる本郷。
以後もも幾度となくライダーシリーズで行われる「変身解除」ですが、その記念すべき初回が今エピソード。なんだか感慨深いものがある。
窮地に陥った本郷はナチスの鉄箱を偽物にすり替えておいたことを明かし、本物のありかと引き換えに脱出を要求。ショッカー首領の鶴の一声でトラップを抜け出した本郷は、素直に鉄箱のありかを教えるが、戦闘員に取り囲まれてしまう。
「さあショッカーの戦闘員たちよ、日ごろ鍛えた腕で本郷猛を始末しろ」
無茶振りが過ぎる。
応戦する本郷だったが、戦場の不利を悟って一時撤退。その途中で拘束されていた砂田を発見し、彼を伴ってアジトを後にする。
砂田の口から語られる、ナチスの秘密――かつてヒトラーは、日本に亡命した時の資金源とするために、数々の財宝をひそかに日本へと運ばせていた。その隠し場所を記した地図が、箱の中に収められているのだ。ショッカーの狙いは、総額数兆円とも言われるその財宝を手中に収めることだった。
本郷が砂田を安全な場所に送り届けている間、大阪で鉄箱の守りを任されていた立花とルリ子。しかし(当然ではあるけれども)カメレオン男の強襲を受け、二人は揃って拉致されてしまう。
アジトでついに鉄箱を開けることに成功するカメレオン男だが、箱の中に地図はなかった。日進月歩の科学技術は、ショッカーの技術力がなくとも箱を開けることに成功したのだ。箱は既に本郷の恩師・大山博士によって開封されており、地図は本郷の手に渡っていた。
大阪へ駆けつけた本郷のもとにかかってくる一本の電話――それはカメレオン男からの呼び出し。立花とルリ子と引き換えに、地図を渡せというものだった。
提案に応じて万博跡エキスポランドに赴いた本郷は、戦闘員と対決。かなり狭い&不安定な足場で殴り合いを繰り広げたり、バイクをノーヘル運転して階段を高速で駆け上がったりなど、非常に見ごたえのあるアクションが展開されます。
というかめちゃくちゃ危ない。
戦闘員を蹴散らして立花とルリ子のもとにたどり着いた本郷だが、その前にカメレオン男が立ちはだかる。ルリ子の前では仮面ライダーに変身できない、と躊躇する本郷。
えっ? もうとっくにルリ子にも知られてると思ってたんだけど、バレてないと思ってたの、本郷?
躊躇した隙を突かれた本郷は地図を奪われ、タワーから突き落とされてしまった!
人質として立花とルリ子を連れたまま、カメレオン男は財宝が埋められているという場所へ向かう。え、地図の場所って大阪だったのか。
地図に書かれた場所を掘り返し始めるカメレオン男。幹部が手掘りしているあいだ下っ端戦闘員が眺めているだけという、すごい構図。やがてカメレオン男は、鉤十字の描かれた巨大な棺を発見する。その中には……
「仮面ライダー!」
えええええええええええ!?
なんと、先回りしてわざわざ棺の中に潜んでいた仮面ライダーの姿が!
戦闘員をいつも通りしばき倒したライダーは、カメレオン男と一騎打ち。財宝はあったのか、と問うカメレオン男に、仮面ライダーは真実を告げる。財宝は既に仮面ライダーに発見され、ショッカーの手に渡らぬよう処分されていたのだ。
仮面ライダーは、ライダーキックを叩き込んでからライダーチョップを繰り出すという連続攻撃で、カメレオン男を撃破する。
ここの、チョップで怪人を殺すシーンを映さない(映せない?)代わりにガラスを割る、という演出はよかった。
砂田は無事戻り、立花の店ではユミの快気祝い?パーティが実施される。それを途中で抜け出した本郷は、道ばたにたたずむ犬を抱き上げ、一人微笑むのだった……。
鉄箱・宝の地図・人質と、次々に展開する争奪戦は観ている時はハラハラさせられて面白く感じたのですが、文字に書き起こしてみるとツッコミどころ満載で、非常にぶっ飛んだストーリーです。
特に「実は本郷がすり替えた偽物の鉄箱」「実はすでに箱が開けられていた」「実は本郷が財宝を捨てた」と次々明らかになる後付けの嵐。要するに今回のエピソードは、カメレオン男がほぼ完全に本郷に手玉に取られていた、というもので。文字通り右往左往させられるカメレオン男はショッカー怪人随一の苦労人と言えるでしょう。
何より、戦闘員に見守られながら地面を手掘りして財宝を探すシーン。
その背中には言い知れぬ哀愁が漂っています。必死こいて掘り当てたら「仮面ライダー!」だもんなあ。あのシーンのインパクトはとんでもない。
笑える怪人というレベルを通り越してちょっとかわいそうですらあった。カメレオン男よ、安らかに眠れ……。