『仮面ライダードライブ』第6話感想 ~愛と悲しみのチェイス~
6話にしてあえなく敗北を喫する幹部……うっ、頭が……。
というわけで新形態・タイプワイルド登場編の後編。
話の落としどころとしてはドがつくほどの直球と言いましょうか。
ヒーローものにおいて怪人は言い訳のしようもなく悪者であり、ヒーローは人間を守るものなのですが。
人間の中にも悪い奴はいるよね、というお話。
これまで三条陸が担当したライダーでは『W』『フォーゼ』と、力を得たことで怪人となり、悪の道に進んでしまう人間の姿が描かれてきました。
その流れを汲む『ドライブ』で、早々にこのネタの話をやってくれたことはよかったです。
フォントアール社長や桐原にぶつかって悩んでいたあたり、やはり進ノ介はポテンシャルは高くてもまだまだ警察官としては未熟、ということのようで。
前回のペイント回に引き続き、仮面ライダーとしてはあくまでも市民を守るところに力点を置くのだ、という姿勢をはっきりさせたので、今後は刑事としての成長も見せていってほしい。
あと、今まで進ノ介とのコンビばかりだった霧子がりんなさんに噛みついていったり、究ちゃん(ネットの人)と現さん(一課の人)を仲裁して一緒に桐原の不正を調べたりと、キャラの行動に広がりを持たせてくれたのはよかったです。
霧子が進ノ介にくっついて走り回っているだけでは面白くないですよね。
課長も進ノ介を見守っているなどおいしいところを持っていくひそかな活躍。
これまでサブキャラたちの扱いは雑もいいところだったので、少しずつ彼らにもスポットライトが当たっていくことを期待します。
シナリオ自体は王道で良かったと思うのですが、やはり後日談の類がないのは少々ポイント低いなあ……と。
今回だと、公安部の桐原警視やフォントアールの社長、進ノ介を助けてくれた運転手が事件解決の後でどうなったのか。それについて(台詞だけでもいいので)フォローを入れてほしい。
たとえば『W』だとドーパントを倒した後、事件関係者のその後を報告書という形で見せていたのですが、『ドライブ』はその部分を次回のゲストの顔見せに割いているんですよね。
2話で1エピソードという形式を実質的に採用してるのに、エピソードのオチがない。
そのせいでとにかく惜しい感じがあり、「刑事もの」としてもあと一歩物足りない印象をもたらしています。
さて次回、カメラのレンズは真実を見る瞳。曇りなき瞳を信じる男、キンタロス!
※以下、割と辛口。
今回、個人的に何よりも残念だったのが終盤のバトルシーン、タイプワイルドの活躍。
魔進チェイサーとの再戦→大型化した下級ロイミュードとの巨大戦→クラッシュロイミュードとのバトル
という三連戦でしたが、合間合間にコマーシャルを挟むので、とにかくテンポが悪く感じました。
見ているこちらがバトルにのめり込んでも、その勢いを削がれてしまってイマイチ盛り上がれない。
クラッシュにとどめを刺すシーンで、「ハンドル剣が来なくてりんなさんに持ってきてもらう」というワンクッション置いたのもちょっと問題あり。
あそこはまだ、そういうお笑いを入れる場面ではない。
今回はどうしても物語の構成が『フォーゼ』の5・6話(エレキステイツ登場回)に似ている部分があって、比較してしまっている部分があったのですが、バトルシーンから受ける印象は雲泥の差でした。
『フォーゼ』では、
強敵を新形態で圧倒、挿入歌を初披露してバトルを盛り上げ、そしてそのサビで必殺技を見せてキメる
という、お手本のような構成。
ギャグシーンのBGMとともに主人公を慌てさせるとか、そんな野暮なことはしない。
特撮ヒーローものにおいてパワーアップ回でのバトルというのは最大の見せ場であって、そこは細かい都合は多少なりとも抜きにして、とにかく見終わった後に爽快感をもたらさなければいけないわけです。
ドライブはまだ『電王』みたいにバトルの時でもふざけていいのだという雰囲気を確立しているわけでもなく、あくまで現段階では「カッコイイ系」寄りなので、今回のクライマックスにおけるりんなさんの乱入ははっきり言って場違いだった。
別の番組にたとえて言うなら、
ウルトラマンのカラータイマーが鳴り始めたところでCMが入るとか、
『暴れん坊将軍』で悪の親玉を「成敗!」する時に御庭番が出てこなくて、吉宗がちょっとキョロキョロした後で自らとどめを刺すとか、
そういうレベルです。
後々DVDで観るとか、録画したものを編集してCMカットして観るぶんには、この記事で語ったほどの違和感は覚えないでしょう。
ですが、「ひとつのテレビ番組」として見た際の印象が悪かったことは確か。シナリオそのものは手堅いつくりだっただけに、なおさら残念でした。
今回CMを挟む箇所を決めた人間には猛省してほしい。