横須哲斗のごった日記

仮面ライダーを中心にまったり語るブログ。アニメ・漫画・小説・ゲーム・映画など諸々。

『仮面ライダードライブ』第19話感想 ~今週も最後に霧子が全部持っていった、が~

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可愛い衣装を見せることに余念がない霧子はヒロインの鑑。

という冗談はさておき、期待していたドラマ部分が予想を下回ったので、今回ちょっと辛辣。

 

前回ジャッジについて幹部連中が「ジャッジの欲望は怒り、憎しみ、復讐」とか言ってたし、前回の感想でその辺りどう転がすか楽しみだと書いたのですが、残念ながら想像を上回ってくれるものにはなりませんでした。ボタンの件や橘さんの動機など、諸々の要素が悪い意味で予想通り。

今回はヒーローものでも刑事ものでも往々にして存在する「正義」を題材にした話。「警察官の正義」と「個人の復讐心」を対立させるあたり当初のコンセプトは直球勝負だったものと思われますが、ジャッジロイミュードが

「俺は進化するためにお前の怒りを利用したに過ぎない。つまり用済みだ。まとめて消してやる」

などと橘さんに言ってしまい、結局のところ橘さんも復讐心は持ってたけどロイミュードに悪の心を利用されただけ、みたいなオチのつけ方になってしまって、あんまり好みじゃない。

とりあえず夕焼けをバックにして事件関係者にいいこと言わせとけ、って終わらせ方はステレオタイプな刑事ものっぽくてなあ……。

今のところ『ドライブ』って刑事ものじゃなくて「刑事もの風味」なんですよね。ここ重要。

 

で、今回ようやく『ドライブ』の残念な部分が自分の中で言語化できたので、以下に書き記しておきます。

まず大前提として、特撮ヒーローものというのはひとつの作品として見た時に色んな部分が曖昧なんですよね。いざという時にどうとでも対応できるように、おおざっぱに作ってある。

玩具展開や役者の都合もあるし、途中で変更になる要素もある。時にはクレームが入ったり路線変更を命じられたりもする。各エピソードも完全にワンパターンじゃなくて、話に様々なバリエーションを持たせなければいけない。

なので、「あえて」曖昧に作っている部分、というのはあると思います。
そういうポイントが目につき過ぎると、「子供騙し」「嘘くさい」「設定が適当」と呼ばれたりもする。 

おなじみ『仮面ライダークウガ』は、この曖昧な部分をとにかく潰しにかかるという作風で、警察という要素を大胆に導入し、リアル路線を突き進みました。

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警察が出てくればリアリティがあるのではなく、「警察」という要素を作中でどう扱うかしっかり考えてあるので、リアリティがあるということになるのです。怪人が実際に出てきたらどの部署が対応するか警察の広報課に訊ねて作品に取り入れたというのですから、その凝りようたるや並ではありません。

続く『アギト』も、『クウガ』のパラレルな続編であるということにしておいたり、G3システムを科学的なパワードスーツとしたり、『クウガ』とは作中における警察の扱いを変えたりすることで、嘘くささを減じ、「子供騙し」の誹りをそれなりに免れています。

また両作品では警察が完全に怪人の存在を認知しており、かつ現行法では対応しようがない存在であるということになっている。だからこそ、グロンギやアンノウンに対して仮面ライダーたちが活躍する余地があるということなのですが。

 

その後「警察」が仮面ライダーに本格参戦することになるのは『W』の照井竜ことアクセル。

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上下レッドでハードにキメた刑事ライダーなんぞリアリティもへったくれもない(おまけに都合よく部下に正体がバレない)のですが、風都という架空の舞台を設定することで、「これはフィクションですよ、ファンタジーですよ」とアピールしている。なので視聴者は、それにノっていける。

怪人についても、ドーパントは元がごく普通の人間なのでちゃんと捕まえることができる。ファンタジーなりに「ファンタジーの中で怪人をリアルに扱う」ということをちゃんと考えていて、『クウガ』『アギト』とは違った形で怪人という存在にちゃんと向き合っている。

 

最新の警察ライダーであるドライブの問題点は、リアル路線(クウガ・アギト)とファンタジー路線(W)のどっちつかずで作り続けていること。

特状課やドライブピットの存在などは『W』の探偵事務所の流れを汲むファンタジー路線なのですが、ファンタジー路線ならそれ相応の舞台を用意してやらなければいけないわけです。少なくとも『W』はちゃんと舞台を用意し、成功した。

『W』の舞台がもし風都ではなく東京のどこかにある探偵事務所(リアル路線の舞台)だったら、これほどの高評価はあり得なかったでしょう。

照井竜にしたって、少しは文句を言われたかもしれません――「いくら仮面ライダーだからってあんな警察官がいるわけない。設定が適当だ、子供騙しだ」と。

まさにその点を指摘されうるのが『ドライブ』なのですよね。東京の片隅にある特状課で派手な改造車を乗り回して仮面ライダーをやっている。

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怪人であるロイミュードも、警察が存在を認知しているかどうかはあやふや(作中の描写は明らかに足りていない)で、「ネットでは話題になってる」という究ちゃんの言及のみ。怪人に協力して罪を犯してしまう人間が少なからず存在するにもかかわらず、逮捕せずにほったらかしで終わることもある。

怪人と人間を裁くか裁けないか、みたいなジレンマを出していく作風というわけでもないし。

 

この辺り、スーパー戦隊シリーズはもっと曖昧に作られています。

対象年齢が低め(未就学児)ということもあるし、基本的にはリアリティなんぞ犬にでも食わせろと言わんばかりの作風ですから、ライダー以上に適当でも「まあ、スーパー戦隊はそういうものだよね」と受け入れる土壌は整っているのです。

本日スタートした『手裏剣戦隊ニンニンジャー』なんてまさに「曖昧さ」「適当さ」のオンパレードだったと思うのですが、

だからって「今年の戦隊にはリアリティがうんぬん」などと難癖つける人間はあまりいないでしょう。

一概に誰が悪い、と言える問題ではないのですが、スーパー戦隊仮面ライダーのスタンスやニュアンスの違いをうまく理解できていない作り手がいる、あるいはその違いを作り手がうまく作品に表せていない……ということなのか。

これまでの『ドライブ』の曖昧さを見るに、仮面ライダーが対象とする視聴者の年齢層が戦隊並みにまで下がってきたということなのかなあ。

抜本的な改善を期待したいところですが、はてさて。

 

えー、次回は予想通りの究ちゃん回。

今回わりと「おっ、いよいよ現さんに仮面ライダーバレ来るか」と思う展開だっただけにがっくり感がひとしおだったのですが、どうせ究ちゃんにも進ノ介がライダーであるとはバレずに行くんだろ……そうなんだろ……。

『フォーゼ』の二番煎じだなんて言ったりしないから、そろそろ特状課メンバーも仲間に入れてあげませんかね?